EUワインの品質等級

EUワインの格付け

ヨーロッパのEU加盟国であるワイン生産国では、原産地の品質を保証するためにワイン法が定められています。最初に制定されたフランスの品質等級と、イタリア、スペイン、ポルトガルなどのワイン生産国はほぼ同じですが、ドイツの最高級ワインPrädikatswein(プラディカートヴァイン)では糖度による分類があります。

EU・ヨーロッパ連合のワイン法

1962年に誕生した、EC加盟国(25ヶ国)に対し統一した法律です。
EUのワイン法は、加盟国のワイン法よりも優先されます。2009年8月新たなワイン法の規定が発令され、新しい法律に基づき、国ごとにばらばらだったラベルの記載などの改訂が行われました。大きく分けると次の2つです。

P.D.O.(原産地名称保護)とP.G.I.(地理的表示保護)の違い

原産地名称保護(Protected designation of origin、略称PDO/AOP

制度中最も厳しい基準で、既定の地域原産品を既定の製法で生産・加工されたものでなければならない。フランス語ではAppellation d’origine protégée, AOP。フランス独自のAOCに相当する)。

地理的表示保護(Protected geographical indication、略称PGI/IGP

定められた地域原産品を定められた製法で生産または加工、または調整されているものでなければならない。フランス語ではIndication géographique protégée, IGP)。

原産地呼称保護ワイン
(PDO/フランス語でAOP)
地理的表示保護ワイン
(PGI/フランス語でIGP)
国内法上のカテゴリーAOC(フランス)
DOC、DOCG(イタリア)
DOCa、DO(スペイン)
Prädikatswein、QbA(ドイツ)など
IGP(フランス)
IGT(イタリア)
Vino de la Tierra(スペイン)
Landwein(ドイツ)など
産地とワインの関係固有の自然的・人的要素、特別な地理的環境品質、社会的評価、その他の特性のいずれか
その産地のブドウの
使用割合
100%85~100%
(ただし外国の原料は使用不可)
品種ヴィティス・ヴィニフェラ*のみヴィティス・ヴィニフェラ交配種も使用可能
官能審査必須任意(産地により必須)

フランスワインの品質等級

  
旧品質等級(2009年まで)          新しい品質等級

2008年、EU閣僚理事会はワインの共通市場制度(OCM)の抜本改革案を式に採択し、EUレベルでのワインの品質分類について、これまでの指定地域優良ワイン(V.Q.P.R.D.=ヴァン・ド・カリテ・プロデュイダン・レジオン・デテルミネ)と日常消費用ワイン(Vin de Table)という分類を廃止し、地理的表示付きワインA.O.P. (Appellation d’Origin Protegee) とI.G.P.(Indication Geographique Protegee)と、地理的表示のないワインという分類に変更しました。

2009年から、フランスのワイン法は、次の3つの品質等級があり、ラベルで判断できるようになっています。

1.A.O.P.ワイン (原産地管理呼称ワイン)

Appellation d’Origine Controlee(アペラシヨン・ドリジーヌ・コントローレ)。産地名をd’Origine(原産地)の部分に記載表示。葡萄の木、栽培面積、最低アルコール度数、栽培醸造方法などもワイン法にて決められており、されに出来上がったワインの化学分析検査ときき酒がI.N.A.O.(原産地呼称名称国立研究所)によって合格したものが A.O.C.ワインの名称を与えられます。名称はは、あらかじめ地方、地域名、村名まで指定されています。指定され名称が限定させれればされるほどワインの特徴がはっきりとし、一般に価格も上昇します。A.O.P.ではなく、これまでのA.O.C.もいまだに使われています。

2.I.G.P.(原産地地理的表示付きテーブルワイン)

生産地の特徴をより引き出すため、指定地域以外のワインとのブレンドは認められていません。一般にフランス南部にて多く生産され、生産量は年々増えています。

3. ヴァン ド ターブル・Vin de Table(日常消費ワイン)

テーブルワインのフランス語。日常消費ワインで、一般に異なる産地のワインをブレンドして造られます。Vin de Table de France・あるいはVin de Table de Francais・と書かれている場合は、100%フランスで生産されたものでなければなりません。

イタリアワインの品質等級

 

イタリアでは優良ワインを保護するため1924年に最初の法律が制定されました。1937年には見直し改正され、1963年には、政府によって本格的なワイン保護法「ワイン用葡萄果汁とワインの原産地呼称保護のための規則」が制定され、大統領令で交付されました。次の4つの品質等級があり、ラベルで判断できるようになっています。

1.D.O.C.G.ワイン (統制保証原産地呼称ワイン)

Denominazione di Origine Controllata e Garantita(デノミナチオーネ・ディ・オリジーネ・コントラータ・エ・ガランティータ)特に高品質として政府が保証した地域のワイン。瓶の首に政府の検査シールが貼られます。現在32銘柄。

2.D.O.C.ワイン(統制原産地呼称ワイン)

Denominazione di Origine Controllata(デノミナチオーネ・ディ・オリジーネ・コントラータ)。270余りの銘柄があります。葡萄品種:同品種、栽培法、収穫量、醸造法、熟成期間、ワインの特性、表示法などについて規制があります。補糖は禁止。

3.I.G.T.ワイン (原産地地理的表示付きテーブルワイン)

Indicazione Geografica Tipica(インディカツォーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ)。85%以上の葡萄がその産地のものであることが必要です。さらに85%以上が同じ品種であれば品種も併記できます。フランスのヴァン・ド・ペイ相当します。

4.Vino(日常消費ワイン)

テーブルワインのイタリア語。日常消費ワインで、イタリア国内で生産された葡萄を使用しなければなりません。

スペインワインの品質等級

1920年に原産地呼称制度が施行されました。次の4つの品質等級があり、ラベルで判断できるようになっています。

1.D.O.Ca.ワイン (特定原産地呼称ワイン)

Denominacione di Origen Calificada。非常に厳しい生産基準を設けている地域で産出されたワインで、最高の品質を誇るもの。2002年現在指定されているのはリオハのみ。

2.D.Oワイン(原産地呼称ワイン)

Denominacion de Origen (デノミナシオン・デ・オリヘン)。統制委員会が設置された地域において、地域内で栽培された認可品種の葡萄を原料として、厳しい基準を満たして生産されたワイン。

3.Vino de la Tierra(ビノ・デ・ラ・ティエラ)

D.O以外の認定地域で産出した葡萄を使用した、その産地の特性を持つワイン。フランスのヴァン・ド・ペイやイタリアのI.G.Tに相当します。

4.ピノ・デ・メサ Vino de Mesa

テーブルワインのスペイン語。日常消費ワインで、D.O.などに認定されていない地域で栽培された葡萄を使用、または異なる地域のワインをブレンドしたワイン。

イタリアでは、ワイン法の規定ではD.O.C.やD.O.C.G.の方が格が上ということになりますが、意欲的な生産者が葡萄品種などの束縛を嫌ってイタリア以外の優良品種を使用して個性的なワイン造りをするために、実際には品質・価格共に勝るヴィーノ・ダ・ターヴォアやI.G.T.もあります。これは、ドイツ、スペイン、ポルトガルなどE.U.加盟生産国でも同じ傾向にあります。この場合、生産者が誰であるかが重要です。

ドイツワインの品質等級

ドイツワイン法は主にワインの原産地、糖度、成分の分析限界値を表わすもので客観的品質が明確化されるとともに、法的最低基準が保証されます。ドイツワイン法に従い、葡萄の成熟度、つまり果実の糖度により、次のように大きく3つに等級が分けられます。最低糖度は産地、品種、品質レベルにより、55〜154エクスレとなっています。

1.原産地呼称保護ワイン(クヴァリテーツワインとプレディカーツワイン)

クヴァリテーツワイン(QbAとプレディカーツワイン)と肩書き付き高級酒群Q.m.P.(Qualitätswein mit Prädikat)いう糖度によるクラスは、2009年8月1日付けのEU規定によって改正され、QbAと同一群になり、プラディカートワインとしてカビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼなど6等級を名乗ることができます。

2.地理的表示保護ワイン(ラントワイン)

ラントワインは指定地域のぶどうを最低85%使用しなければなりません。その地域名が表示されます。ラントワインは辛口か中辛口に限定されていますが、ラントワイン地域のうち、ライン、オーバーライン、ライン=ネッカー、ネッカー地域は例外となっています。

3.ドイチャーワイン(品種名、ヴィンテージは 任意表示)

ドイチャーワインは、以前のターフェルワインに相当し、ドイツ国内の認可された畑の、認可された品種のぶどうの使用だけが認められています。

といっても、「ドイチャーヴァイン」と「ラントヴァイン」はあまり気にする必要はありません。
なぜなら、この2つのカテゴリをあわせても、ドイツ全体のワイン総生産の3%しか占めていません。
その理由は、ドイツは非常に険しい立地にぶどう畑が広がっているため、機械による収穫ができないため大量生産ができないためです。

 

詳しくはワイン雑学塾 ワインの栽培地域をご覧ください。

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