ボルドー Bordeaux

 

フランスワインで最も有名なボルドーワインは、フランス南西部ボルドーを中心とした一帯で産出されるワインです。フランス全体のA.O.C.ワイン(原産地統制呼称ワイン)の約4分の1を占めガロンヌ河・ドルドーニュ河の両岸と合流するジロンド河一帯に広がる広大な栽培地域で、そのジロンド県全域にわたる地域で「ボルドー」を名乗ることができ、この一帯は世界的に最も有名なワイン産地の一つです。ここで産出される赤ワインは、クラレット(Claret)とも呼ばれます。この地は中世英国領であったため、17世紀にルイ15世の時代になるまでフランスでよりもイギリスで愛されていたためです。また、白ワインについてもソーテルヌの甘口な貴腐ワイン、ソーテルヌ・ワインなどがその高い品質で知られています。

ボルドワインーの格付け

また、ボルドーには公式に決められた格付け(ランク)があります。

  • 1855年のメドックとソーテルヌ・バルザックのグラン・クリュ格付け
  • 1953年に制定されたグラーヴの格付け
  • 1954年に制定されたサン・テミリオンの格付け

の5つの地区それぞれに独自の格付けがされており、その格付けによって品質の良いワインかどうか見極めることができます。現在総生産量の5%を占めるボルドーワインがその格付けにランクインしています。

メドックのクリュ・アルティザンとクリュ・ブルジョワ

メドックのクリュ・ブルジョワの格付けは1932年にはじまり、メドック地区の8つのアペラシオンからその質と価値が認めらた赤ワインが選ばれました。この格付けは改定があります。「クリュ・ブルジョワ」という言葉はボルドーの富裕な有産階級であるブルジョワがメドックの最良の畑を取得した時期に遡ります。その区画はその後「クリュ・ブルジョワ」と呼ばれるようになりました。ほとんどが家族経営である250のシャトーがクリュ・ブルジョワ連盟に属し、メドックの総生産量の40%を占めます。

クリュ・アルティザンは、メドック地区の8アペラシオンの小さな家族経営のシャトーから生まれるワインの格付けで、1994年EUに公式に認定され、2006年、栽培面積6ヘクタール以下の家族経営の44シャトーがクリュ・アルティザンに格付けされました。

ボルドーワインのぶどう品種と特徴

ボルドーワインの大きな特徴として一部を除き単一の品種からのワインではなく、ボルドー地方の品種を各シャトー独自に「アッサンブラージュ」(ブレンド)し、その使用割合が異なることです。それぞれの土質に合った品種を主にしながら、多品種を加えることで、バランスのとれた完成度の高いワインが生み出されます。このアッサンブラージュこそ各シャトーの個性の見せ所!どの品種のワインをどのぐらいの割合で組み合わせるか、知識と経験をフルに生かして、自分たちの理想のワインを作り上げていくのです。

ボルドー産の赤ワインに使用されるブドウは、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランといった品種が中心で、適度な酸味と甘みが溶け合い、その繊細な味わいから「ワインの女王」と称されています。ボルドーでもサンテミリオン地区で生産される赤ワインにはメルローの使用割合が多くなり、また違った味わいを持っています。一方、白ワインではソーヴィニヨン・ブランといった品種が多く使用されています。しかし、ソーテルヌ地区で生産される甘口の貴腐ワインにはセミヨンが使用されます。

赤ワイン用のぶどうの品種

 

メルロ MERLOT

メルロはボルドー地方で栽培面積が最も多いぶどうの品種で、ここでは早く収穫期を迎えます。冷たい土壌に植えられると、その潜在力を充分に発揮します。ワインに深い色調、ロースト香、プラムなどの赤い果実を思わせる風味を与え、瓶熟成を経ると無花果の風味が現われます。

カベルネ・ソーヴィニヨン CABERNET SAUVIGNON

カベルネ・ソーヴィニヨンはボルドー地方の伝統的な品種で、晩熟型です。理想的な成熟のために必要となる、左岸の砂利質の温かい土壌に適しています。ワインに骨格や豊かなタンニン、甘草、カシスなどの黒い果実の風味をもたらし、熟成すると森の下草の優雅なアロマも現れます。

カベルネ・フラン CABERNET FRANC

カベルネ・フランはカベルネ・ソーヴィニヨンより早く熟します。非常に優れた補助品種であり、わずかな例外を除き主要品種として使われることはありません。ワインに爽やかさや繊細さ、木苺やすみれなどの複雑な香りを与えます。

白ワイン用のぶどうの品種

 

ソーヴィニヨン・ブラン SAUVIGNON BLANC

ソーヴィニヨン・ブランはわずかな例外を除き、辛口白ワインで中心となる品種です。ワインに不可欠な酸、ミネラル感と爽やかな香りをもたらします。 柑橘類、柘植、無花果の葉という品種由来のアロマを備えています。

セミヨン SEMILLON

セミヨンは中甘口と甘口ワインでは主要品種として、また辛口白ワインのアッサンブラージュではほとんど常に相補的に使われます。まろやかさや豊かさと、杏や蜂蜜の香りをもたらします。“貴腐”になるとその真価を最大限に発揮し、無類のすばらしいブーケが広がります。

ミュスカデル MUSCADELLE

ミュスカデルは辛口と甘口の両方の白ワインの補助品種の役割を果たし、アッサンブラージュ(ブレンド)の10%を超えることは稀です。病害の耐性にやや弱いところがありますが、麝香(じゃこう)や花の印象的な香りを放ちます。

アペラシオン 原産地管理呼称 A.O.C.(アー・オー・セー

アペラシオンAppelltionとは、アペラシオン・(ドリジーヌ・)コントローレAppelltion d’origine Controee(略してACまたはAOC)といって原産地統制呼称といいます。すべての優良フランスワインの原産地や算出方法に関する行政的な規制(品質を規制するものではない)です。ボルドーには現在60の原産地統制呼称(AOC)があり、各AOCのテロワール(畑の場所・土壌・気候・造り手)を反映した、重厚な赤ワイン・爽やかな辛口白ワイン、ロゼ、甘口の白ワイン、発泡酒のクレマンと、様々なワインが造られています。呼称の適用範囲は単一の村の場合も、地区全体、大きな地域全体の場合もあります。 もう一つの特徴に、シャトーの格付けがあります。ボルドーでは、古くから品質にしたがってワインの格付けが行われており、特に1855年のメドック地区における赤ワインとソーテルヌ地区の白ワインに、格付けが行われ、その一世紀後、グラーヴ、サンテミリオン両地区に格付けが行われました。 AOCやシャトーの格付けが、ボルドーワインを知る手がかりとなることは変わりありません。しかし、それよりはるかに大切なのは、そのワインを造った生産者や酒商(ネゴシャン)の名前です。

原産地管理呼称 A.O.P.(アー・オー・ペー)

フランスのAOCに倣って1992年に生まれたヨーロッパの原産地保護呼称です。AOCはAOPの一部を構成しています。フランスのフロマージュ(=チーズ)も現在はAOP制度に組み込まれています。

栽培地区

www.bordeaux.comの白地図を元に作成しました

 

メルシャンワインカタログ

■メドック地区(Médoc)

ジロンド河の左岸。大西洋に近く比較的温暖な海洋性気候で、砂利の多い水はけの良い土壌からは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした長期熟成タイプの赤ワインが造られます。 大きく2つに分けられ、最下流エリアが「メドック」、上流エリアが「オー・メドック」となります。とくに「オー・メドック」は、格付けシャトーが集中する地区で、アペラシオンはさらに村で分けられ、「サン・テステフ村」、「ポイヤック村」、「サン・ジュリアン村」、「マルゴー村」などで、それぞれの品質にパスしたワインは、それぞれのAOCを名乗ることができます。それ以外は上位から「オー・メドック」、「メドック」、さらに「ボルドー・スペリュール」「ボルドー」のAOCのワインになります。

■ペサック・レオニャン

1987年に、良質なワインを産するグラーヴ北部の10ヶ村独自のアペラシオンとして、グラーヴから分かれて“ペサック・レオニャン”が誕生しました。ACグラーヴに比べて、アルコール度数、収穫量等の規制がより厳しくなります。

■グラーヴ地区(Graves)

メドックの南、ボルドー市からランゴンの町にかけて広がっている地区で、土壌はその名の通り砂利(グラーヴ)が多く含まれます。この地区の特色は他の地区と異なり、一つのシャトーで赤と白、両方のワインを産します。赤はメドックのものよりも柔らかく、まとまりを良くした感じのもの、白はソーヴィニオン・ブラン、セミヨン種を主体に、酸味の豊かなフレッシュなものからコクのあるタイプまでいろいろあります。Ch.オーブリオンを初めとする15のシャトーの赤・白計21のワインが特級。格付けは行われていません。

■ソーテルヌ地区(Sauternes)

世界で最も素晴らしい甘口ワインを産する地区の一つです。セミヨン種を主体にソーヴィニオン・ブラン種をブレンドしますが、霧などの諸条件により、貴腐の作用(貴腐菌がぶどうに付着し、干しぶどう状になる作用)を得て、天然の糖分を最大限に残す方法のため、単位面積当たりの収穫量は通常の約半分ほどになってしまいます。 ワインは琥珀色、アカシアの花から採った蜂蜜のような香り、甘いアンズに似た酸味を感じさせる素晴らしいものになります。ソーテルヌはデザートワインといわれますが、最上のソーテルヌは、それこそが最上のデザートであるといわれます。この地区でも1855年にシャトーの格付けが行われました。 第1特別級がCh.イケムを筆頭に、第1級…11シャトー、第2級…14シャトー

■サンテミリオン地区

ドルドーニュ河右岸の、広さ約5400haのこの地区は、土壌が大きく2つに分けられます。オーゾンヌのある“コート(高台)”は石灰、粘土質で主にメルロー種が植えられ、もう一方の平地が、シュヴァル・ブランのある“グラーヴ(砂利)”区域で、メドック地区に似た砂利質の土壌に主にカベルネ種が植えられています。 ワインは総体的に色が濃く、アルコールによるボディーの厚みのあるものです。1984年以降、アペラシオンは“サンテミリオン・グラン・クリュ(特級)”と“サンテミリオン”の2つですが、前者は後者に比べアルコール度数、収穫量等の規制がより厳しくなります。この地区でも1855年の格付けが行われ、その後三度の見直しが行われています。格付けは次の2つです。 第一特別級 1er Grand Cru Classe…Ch.オーゾンヌとCh.シュヴァル ブランなど13シャトーで、この2つはその中でも特に優秀なためA級と呼ばれています。特別級…55シャトー 特別級 Grand Cru Classe

■サンテミリオン衛生地区(サンテミリオン・サテライト)

サンテミリオン地区の北に独自のアペラシオンを持つ4つの地区。 サン・ジョルジュ-サンテミリオン、モンターニュ-サンテミリオン、リュサック-サンテミリオン、ピュイスガン-サンテミリオン

■ポムロール地区

ドルドーニュ河右岸の、ブールヌ港北東に位置する、総面積800haほどの小さな地区。鉄分を多く含む砂利混じりの粘土質土壌で、主にメルロー種とこの地でブーシェと呼ばれるカベルネ・フラン種を用いた赤は、余韻の長い凝縮された香りと力強い味わいが特徴です。メドックの繊細さとサンテミリオンの力強さを合わせ持ったワインといわれ、各シャトーは規模は小さく、格付けはありませんが、全体に高い水準のワインです。

■ドルドーニュ河右岸地区

ドルドーニュ河からジロンド河にかけての右岸は、赤ワインを主体とする産地が広がっています。下流から順に、オー・メドックの対岸に位置する広大なブライとブール。20kmほど離れて、フロンサックとポムロールの北に隣接するラランド・ド・ポムロール。最も上流にあるのがサンテミリオンの南東に連なるコート・ド・カスティヨン地区と、その北に接するボルドー・コート・ド・フランがあります。

■アントル・ドゥー・メールとプルミエール・コート・ド・ボルドーなど

ガロンヌ河とドルドーニュ河に挟まれた三角形の地区からは、地元の人たちが日頃良く飲むような大衆的ワインが造られています。 大半を占めるアントル・ドゥー・メール。ボルドー市の対岸プルミエール・コート・ド・ボルドー。その南に甘口白の産地カディアック、ルーピアック、サンクロワデュモンなどがあります。

■ボルドー、ボルドー・スペリュール

メドック地区のアペラシオンを使用できるのは赤のみで、白はこのアペラシオンになります。また、独自のアペラシオンを持たない地区や村で造られるワインで、ボルドーACの規制にパスしたものが「ボルドー」を名乗ることが出来ます。多くのACボルドーは後者のタイプです。よりアルコール度数や収穫量等の規制が厳しいものが“ボルドー・スペリュール”です。

 

参考:ボルドーワイン委員会公式サイト

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