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ドイツワインの品質等級
ドイツワイン法は主にワインの原産地、糖度、成分の分析限界値を表わすもので客観的品質が明確化されるとともに、法的最低基準が保証されます。ドイツワイン法に従い、葡萄の成熟度、つまり果実の糖度により、次のように大きく3つに等級が分けられます。最低糖度は産地、品種、品質レベルにより、55〜154エクスレとなっています。
従来のターフェルワイン(ラントワインを含む)とクヴァリテーツワイン(QbAとプレディカーツワイン)という品質等級の分類は、2009年8月1日付けのEUのワイン法で義務付けられている2つの広範な品質カテゴリー(テーブルワインと品質ワイン)の中で、他のワイン生産国よりも区別されています。
当店では、クーベーアー以上の生産者元詰ワインを取りそろえております。
・原産地呼称保護ワイン(クヴァリテーツワインとプレディカーツワイン)
1.プレディカート ヴァイン (肩書き付きワイン=Prädikatswein)
2007年7月までの旧称は「クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート」 (Qualitätswein mit Prädikat、QmP、「肩書き付き上質ワイン」という意味)でしたが、2007年7月以降、EUの原産地呼称保護ワイン(フランスA.O.P.、イタリアD.O.P.)として、ドイツではg.U.(ゲシュッテ・ウアシュプルングスベツァイヒヌンク)といい、クーベーアーQ.b.A.と同じグループにまとめられましたが、略称である「g.U.」と「g.g.A.」の使用は認可されていません。これまで通り、伝統的な表示使用は義務付けられています。
この等級は、クーベーアーと同じ13のワイン生産地域内産で、1生産地のぶどうを100%使用しなければなりません。さらに次の6つに分けられます。クヴァリテーツヴァインは一切補糖が認められないため、毎年生産されるとは限りません。
天然最低糖度 70~154°
プレディカート(肩書き)ワインの等級
カビネット
Kabinett |
比較的軽快なワイン。熟したブドウから造られ、プレディカートワインの中では最も糖度が低く低アルコールの見本タイプです。食事と一緒でもワインだけでもおいしく飲めます。 | 食事向き |
シュペートレーゼ
Spätlese |
直訳の通り「遅摘み」。重厚なワイン。完熟ぶどうを使用。 通常の収穫期より最低1週間以上遅く収穫した葡萄が原料となります。風味と濃度が一段と高いワイン。 | |
アウスレーゼ
Auslese |
出来の良い年に、収穫時期を粘り強く2ヶ月ほど待って、未熟果、不良果を取り除いた完熟した房を手摘みして造るワインで、一層気品ある凝縮した味わいとなります。これ以上のクラスはワインだけでじっくり楽しめる甘口ワインです。 | デザートワイン |
ベーレンアウスレーゼ
Beerenauslese |
天候の恵まれた年にだけ、さらに成熟した超過完熟や貴腐ぶどうの果粒のみを一粒づつ丁寧に摘み取って造られるワインで、驚くほど芳醇でコクのある味わいです。 | |
アイスヴァイン
Eiswein |
マイナス7度以下で氷結したぶどうを収穫し、氷結状態で圧搾した、天然濃縮 された果汁から造るワイン。11月から翌年1月頃まで収穫を遅らせ、葡萄が氷結した早朝にすばやく摘み取り造られる、まさ10年に1度の奇跡のワインです。また他の甘口ワインとは、甘さの質の違う素晴らしいワイン。 | |
トロッケンベーレンアウスレーゼ
Trockenbeerenauslese |
ドイツワイン最高の等級であるこのワインは、最適な天候状態の年にのみ、ほとんど干し葡萄同様になるまで熟した貴腐葡萄を一粒づつ摘み取って造られます。濃い黄金色、まるで密のような甘さと濃度を持つ、天然のリキュールといえる味わいをもち、世界最高のデザートワインと言えます。 |
2.クワリテーツワイン (略してクーベーアー=Qualitatswein.b.A、Q.b.A)
限定地域内上級酒正式には、クワリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ(Qualitatswein bestimmter Anbaugebiete 限定地域内上級酒)と言いますが、略してクーベーアー(Q.b.A.)と呼び、ラベルにはQualitatsweinと記せばいいことになっています。ドイツワインで最も生産量の多い等級で、13のワイン生産地域に分けられます。
天然最低糖度:55~72°
3.ドイチャー ラントワイン (Deutscher Landwein)
ラントワインは、その名の通り地酒。フランスのヴァン・ド・ペイ(Vin de Pays)に相当するワインで、生産地域を19に分け、その生産地の特徴を強調したワインです。ラントワインは指定地域のぶどうを最低85%使用しなければなりません。エティケットにはその地域名が表示されます。トロッケン(Trocken 辛口)からハルプトロッケン(Halbtrocken 中辛口=やや辛口)に限られます。ラントワイン地域のうち、ライン、オーバーライン、ライン=ネッカー、ネッカー地域は例外となっています。食中酒として最適。
天然最低糖度:47~55°
4.ドイチャーワイン (Deutscher Wein) 日常ワイン
旧ターフェルワインに相当し、英語でテーブルワインです。以前のターフェルワインに相当し、100%ドイツ国内の認可された畑の、認可された品種のぶどうの使用だけが認められています。他のワイン生産国と比べると、ドイツではこのカテゴリーのワインが少量しか生産されていません。各国のワイン法におけるヴァン・ド・ターブル(仏)、ヴィノ・ダ・ターヴォラ(伊)、ビーノ・デ・メーサ(スペイン)と同じ等級です。ドイツ産の日常消費用のワインで、全体の生産量の約10%です。やや甘口の飲み口のよいワインが大半です。
天然最低糖度:44~50°
ドイチャーワインの最低天然アルコール度数(モストの比重/糖度)は、Aゾーン(バーデン地方以外の全域)では5% Vol.(44エクスレ)、Bゾーン(バーデン地方)では6% Vol.となっています。
1.TPOによってそれぞれに合ったワインを選ぶ
以上の等級は上位のワインが下位の等級よりも優秀であるのは違いありませんが、TPOとして食中酒として飲む場合、シュペートレーゼ以上の甘口ワインはデザート(食後酒)用で、クーベーアー Q.b.A.やカビネット Kabinettの方が、料理に合います。
また、優良な生産者元詰めのクーベーアーが、瓶詰め業者の量産ワインのカビネットやシュペートレーゼに優ることはよくあることです。
また一般には等級が上がるにつれて規定残留糖度も上がりますが、ラベルにトロッケンTrocken(辛口)、ハルプトロッケンHaibtrockenと表示されているワインは、それぞれの等級を満たす糖度で造られた、「辛口」、「中辛口=やや辛口」という意味になります。近年こうしたシュペートレーゼ トロッケンなどの品質が極めて良くなっています。
「シュペートレーゼで辛口ってどういうことなの?」ここら辺がドイツワインをややこしくしているところなのですが、食中酒として楽しめるドイツワインです。ようやくラベル表示が2001年度産からシンプルになりました。
2.ワインに対してしっかりとした姿勢と考え方をもった生産者・輸入元を選ぶことだと思います。
といっても生産者の事まで我々ワインを扱っている小売店でもなかなか分りませんし、お客様はなおさらではないでしょうか。従って私は生産者と接している信頼できる輸入元を選びましょう。また輸入元の姿勢が見えるのは我々小売店ですから、そういう輸入元と長年に渡り取引している小売店を選ぶといいでしょう。しかも熟成管理がしっかりしたお店(当店のようなすべてのワインを15℃、湿度60%以上で管理)を選ぶとまず安心です。