ボルドー

フランスワインで最も有名なボルドーワインは、フランス南西部ボルドーを中心とした一帯で産出されるワインです。フランス全体のA.O.C.ワイン(原産地統制呼称ワイン)の約4分の1を占めガロンヌ河・ドルドーニュ河の両岸と合流するジロンド河一帯に広がる広大な栽培地域で、そのジロンド県全域にわたる地域で「ボルドー」を名乗ることができ、この一帯は世界的に最も有名なワイン産地の一つです。ここで産出される赤ワインは、クラレット(Claret)とも呼ばれます。この地は中世英国領であったため、17世紀にルイ15世の時代になるまでフランスでよりもイギリスで愛されていたためです。また、白ワインについてもソーテルヌの甘口な貴腐ワイン、ソーテルヌ・ワインなどがその高い品質で知られています。

ボルドーワインの大きな特徴として単一の品種からのワインではなく、ボルドー地方の品種を各シャトー独自にブレンドし、その使用割合が異なることです。それぞれの土質に合った品種を主にしながら、多品種を加えることで、バランスのとれた完成度の高いワインが生み出されます。 ボルドー産の赤ワインに使用されるブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローといった品種が中心で、適度な酸味と甘みが溶け合い、その繊細な味わいから「ワインの女王」と称されています。ボルドーでもサンテミリオン地区で生産される赤ワインにはメルローの使用割合が多くなり、また違った味わいを持っています。一方、白ワインではソーヴィニヨン・ブランといった品種が多く使用される。しかし、ソーテルヌ地区で生産される甘口の貴腐ワインにはセミヨンが使用されます。

アペラシオン 原産地統制名称(AOC)

アペラシオンAppelltionとは、アペラシオン・(ドリジーヌ・)コントローレAppelltion (d’origine) Controee(略してACまたはAOC)といって原産地統制名称といいます。すべての優良フランスワインの原産地や算出方法に関する行政的な規制(品質を規制するものではない)です。ボルドーには現在60の原産地統制名称(AOC)があり、各AOCのテロワール(畑の場所・土壌・気候・造り手)を反映した、重厚な赤ワイン・爽やかな辛口白ワイン、ロゼ、甘口の白ワイン、発泡酒のクレマンと、様々なワインが造られています。呼称の適用範囲は単一の村の場合も、地区全体、大きな地域全体の場合もあります。 もう一つの特徴は、シャトーの格付けがあります。ボルドーでは、古くから品質にしたがってワインの格付けが行われており、特に1855年のメドック地区における赤ワインとソ?テルヌ地区の白ワインに、格付けが行われ、その一世紀後、グラーヴ、サンテミリオン両地区に格付けが行われました。 AOCやシャトーの格付けが、ボルドーワインを知る手がかりとなることは変わりありません。しかし、それよりはるかに大切なのは、そのワインを造った生産者や酒商(ネゴシャン)の名前です。

■メドック地区(Médoc)

ジロンド河の左岸。大西洋に近く比較的温暖な海洋性気候で、砂利の多い水はけの良い土壌からは、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした長期熟成タイプの赤ワインが造られます。 大きく2つに分けられ、最下流エリアが「メドック」、上流エリアが「オー・メドック」となります。とくに「オー・メドック」は、格付けシャトーが集中する地区で、アペラシオンはさらに村で分けられ、「サン・テステフ村」、「ポイヤック村」、「サン・ジュリアン村」、「マルゴー村」などで、それぞれの品質にパスしたワインは、それぞれのAOCを名乗ることができます。それ以外は上位から「オー・メドック」、「メドック」、さらに「ボルドー・スペリュール」「ボルドー」のAOCのワインになります。

■ペサック・レオニャン

1987年に、良質なワインを産するグラーヴ北部の10ヶ村独自のアペラシオンとして、グラーヴから分かれて“ペサック・レオニャン”が誕生しました。ACグラーヴに比べて、アルコール度数、収穫量等の規制がより厳しくなります。

■グラーヴ地区(Graves)

メドックの南、ボルドー市からランゴンの町にかけて広がっている地区で、土壌はその名の通り砂利(グラーヴ)が多く含まれます。この地区の特色は他の地区と異なり、一つのシャトーで赤と白、両方のワインを産します。赤はメドックのものよりも柔らかく、まとまりを良くした感じのもの、白はソーヴィニオン・ブラン、セミヨン種を主体に、酸味の豊かなフレッシュなものからコクのあるタイプまでいろいろあります。Ch.オーブリオンを初めとする15のシャトーの赤・白計21のワインが特級。格付けは行われていません。

■ソーテルヌ地区(Sauternes)

世界で最も素晴らしい甘口ワインを産する地区の一つです。セミヨン種を主体にソーヴィニオン・ブラン種をブレンドしますが、霧などの諸条件により、貴腐の作用(貴腐菌がぶどうに付着し、干しぶどう状になる作用)を得て、天然の糖分を最大限に残す方法のため、単位面積当たりの収穫量は通常の約半分ほどになってしまいます。 ワインは琥珀色、アカシアの花から採った蜂蜜のような香り、甘いアンズに似た酸味を感じさせる素晴らしいものになります。ソーテルヌはデザートワインといわれますが、最上のソーテルヌは、それこそが最上のデザートであるといわれます。この地区でも1855年にシャトーの格付けが行われました。 第1特別級がCh.イケムを筆頭に、第1級…11シャトー、第2級…14シャトー

■サンテミリオン地区

ドルドーニュ河右岸の、広さ約5400haのこの地区は、土壌が大きく2つに分けられます。オーゾンヌのある“コート(高台)”は石灰、粘土質で主にメルロー種が植えられ、もう一方の平地が、シュヴァル・ブランのある“グラーヴ(砂利)”区域で、メドック地区に似た砂利質の土壌に主にカベルネ種が植えられています。 ワインは総体的に色が濃く、アルコールによるボディーの厚みのあるものです。1984年以降、アペラシオンは“サンテミリオン・グラン・クリュ(特級)”と“サンテミリオン”の2つですが、前者は後者に比べアルコール度数、収穫量等の規制がより厳しくなります。この地区でも1855年の格付けが行われ、その後三度の見直しが行われています。格付けは次の2つです。 第一特別級 1er Grand Cru Classe…Ch.オーゾンヌとCh.シュヴァル ブランなど13シャトーで、この2つはその中でも特に優秀なためA級と呼ばれています。特別級…55シャトー 特別級 Grand Cru Classe

■サンテミリオン衛生地区(サンテミリオン・サテライト)

サンテミリオン地区の北に独自のアペラシオンを持つ4つの地区。 サン・ジョルジュ-サンテミリオン、モンターニュ-サンテミリオン、リュサック-サンテミリオン、ピュイスガン-サンテミリオン

■ポムロール地区

ドルドーニュ河右岸の、ブールヌ港北東に位置する、総面積800haほどの小さな地区。鉄分を多く含む砂利混じりの粘土質土壌で、主にメルロー種とこの地でブーシェと呼ばれるカベルネ・フラン種を用いた赤は、余韻の長い凝縮された香りと力強い味わいが特徴です。メドックの繊細さとサンテミリオンの力強さを合わせ持ったワインといわれ、各シャトーは規模は小さく、格付けはありませんが、全体に高い水準のワインです。

■ドルドーニュ河右岸地区

ドルドーニュ河からジロンド河にかけての右岸は、赤ワインを主体とする産地が広がっています。下流から順に、オー・メドックの対岸に位置する広大なブライとブール。20kmほど離れて、フロンサックとポムロールの北に隣接するラランド・ド・ポムロール。最も上流にあるのがサンテミリオンの南東に連なるコート・ド・カスティヨン地区と、その北に接するボルドー・コート・ド・フランがあります。

■アントル・ドゥー・メールとプルミエール・コート・ド・ボルドーなど

ガロンヌ河とドルドーニュ河に挟まれた三角形の地区からは、地元の人たちが日頃良く飲むような大衆的ワインが造られています。 大半を占めるアントル・ドゥー・メール。ボルドー市の対岸プルミエール・コート・ド・ボルドー。その南に甘口白の産地カディアック、ルーピアック、サンクロワデュモンなどがあります。

■ボルドー

メドック地区のアペラシオンを使用できるのは赤のみで、白はこのアペラシオンになります。また、独自のアペラシオンを持たない地区や村で造られるワインで、ボルドーACの規制にパスしたものが「ボルドー」を名乗ることが出来ます。多くのACボルドーは後者のタイプです。よりアルコール度数や収穫量等の規制が厳しいものが“ボルドー・スペリュール”です。

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