ドイツワインの代表的葡萄品種


ラインヘッセン地域のゲオルグシュナイダー家にて

ドイツワインの代表的葡萄品種

世界中で栽培されている代表的白ワイン用品種の中で、シャルドネやソーヴィニオン・ブランの陰に隠れていますが、白ワインにおいて、最高品質を誇る品種がリースリング。ドイツが誇る高貴な白葡萄としてリースリングは、極めて面白い存在です。シャルドネやピノ・ノワールなどは原産地のフランス・ブルゴーニュ以外ではなかなかやっかいなのですが、リースリングはドイツの外に出ても、アルザスに行けばアルザスらしさを、オーストラリアに行けばオーストラリアらしさを、それぞれの土地の個性を出す品種といわれています。様々な国でリースリングによる美味しいワイン造りへの挑戦がおこなわれています。でも最高のリースリングの味わいを知るには、まず本格ドイツワインから飲んでみることをお薦めします。リースリングはモーゼルの気候風土の中で誕生し、育まれてきた、ドイツの自然環境が最も合った品種だからです。

なぜ、ドイツでは他では真似のできない至高のリースリングが育つのか?!

原産地のドイツは、世界の葡萄栽培の北限であり、日照時間が少ないのです。しかしその分、葡萄がゆっくりと成熟していきます。本来はブドウ栽培に理想的な土地ではないといえますが、しかしそのことがリースリングにとっては、次のような素晴らしい特徴を生みだしました。

  • 他の産地では真似のできない、繊細でミネラルに富み、酸度(リンゴ酸)が高いワイン
  • リースリングは、フレッシュ&フルーティな中口から貴腐ワインの極甘口までさまざまな味わいが生まれる楽しい品種
  • ワインが若いうちは花のような香りのフルーティなワインで、熟成するにつれて、シャルドネの強烈な主張とはまた違う、高貴で蜜のような奥深い香りと味わいになる。21世紀はリースリングの時代が来る?!-専門家や醸造家に多い、リースリング・ワインファン世界的に著名なイギリスのワインライター、ヒュー・ジョンソン氏は、最新著書の「ポケットワインブック2000(第3版)」の中でこう述べています。

    「自分のデイリーワインはドイツワインです。世界のベスト・バイ・ワイン(最良のお買い得ワイン)の中で、また新世界(カリフォルニア、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ等)のワインにも、ラインガウやモーゼルのように優れた白ワインは一つもありません。人々はそれを知らないのです。」。また彼は、「本来なら今頃、ドイツワインの世界的ブームが起きても不思議ではありません。

    • 新しい発想
    • 分かりやすいラベル表示の普及
    • 品質にして手頃な価格
    • 続いている出来の良い収穫年
    • 平均で約7%と低アルコール分なのでヘルシー(ドイツの生産者が口々に語っていました)

    など、有利な条件は揃っています。」

    私もそう思います。白ワインの品種として有名なものに“シャルドネ”や“ソーヴィニオン・ブラン”、“セミヨン”などの優れた品種があります。しかし、そうした世界的な品種ワインブームの陰に隠れて、忘れられがちなことがあります。それは、白ワイン用品種の最も高貴な品種である“リースリング”であることなのです。リースリングは、優れた畑と優れた一流生産者のワインであるほど奥が深く、時にははつらつとした酸と甘みのワインになったり、繊細でチャーミングなドイツワインならではの魅力を秘めたワインにもなります。また、熟成を経て、他の白ぶどうには得られない高貴な香味を放ちます。

     

【白ワイン用品種】

リースリング Riesling

ドイツワインを代表する最高級白ワイン用品種であるばかりか、世界の白ワイン用品種を代表する品種です。小粒の果粒は晩熟性で、10月から11月に完熟します。特にモーゼル、ラインガウ、ミッテルライン、ラインファルツ(ミッテルハート地区)において、真価を発揮します。フレッシュ&フルーティな中口から貴腐ワインの極甘口までさまざまな味わいが生まれる楽しい品種です。

ワインが若いうちは、花のような香りのフルーティなワインで、熟成するにつれて、シャルドネの強烈な主張とはまた違う、高貴で油っぽい奥深い香りと味わいになります。

真面目な評論家でリースリングがシャルドネと互角のレベルにあることに異論を唱える者はいない。両者は世界で最良の白ワイン用品種である。ただし、ワインのスタイルは全く対照的なものになる。シャルドネがコクはあるがアロマは控えめなワインを生むのに対し、リースリングのワインは、鋼鉄のようなものから肉感的なものまで幅広く、そのいずれもが実に芳香に富む。しかも熟成に耐える潜在能力は、いかなるシャルドネをもはるかに超えるものだ。偉大なリースリングといえばドイツで、あらゆるスタイルにわたる卓越したワインを参する。…軽くかぐわしく、しばしば身にしみ渡るように清々しいリースリングといえば、モーゼルというまたとない産地がある。「ポケットワインブック/ヒュー・ジョンソン」

ミュラー・トルガウ Muller-Thurgau

現在ドイツで最も栽培されている品種で、全栽培面積の21%を占めています。スイス・トゥルガウ州出身のヘルマン・ミュラー教授によって、1882年にドイツのガイゼンハイム研究所で開発されました。かつてはリースリングとジルヴァーナーの交配と言われていましたが、最新の遺伝子解析により、リースリングとマドレーヌ・ロワイヤルの交配であることがわかりました。

早熟性で9月末には完熟します。花のような、マスカットを思わせる風味。通常は早飲みタイプ。ラインヘッセンやファルツでは有力品種。

ジルヴァーナー Silvaner

古くからある品種で、栽培面積は全体の9%でドイツで3番目に多く栽培され、リースリングより早く完熟する。特にフランケンでは刺激的な風味に満ちた最高のワインを産み出します。他の地域では上質のワインになることは少ないですが、ファルツでは例外的に上質のワインが生産されています。厚みのあるジルヴァーナーは重厚な地方料理にふさわしく、繊細なジルヴァーナーはコース料理などのお供に最適です。

ケルナー Kerner

ドイツの新品種の中で最も成功した人気のある品種です。リースリング✕トロリンガーと交配したもの。ヴァインスベルクの詩人で医官だったユリウス・ケルナー(1786〜1862年)にちなんで命名されました。

早熟性で、マスカットや花のような芳しい香りと酸味りの高いリースリングに近い味わいのワイン(ただし、中にはけばけばしい感じがすることも多い)。ファルツ、ラインヘッセンで人気があります。

ヴァイスブルグンダー Weissburgunder

ヴァイスブルグンダー(白ブルゴーニュのドイツ語名)は、ピノ・ブラン(Pinot Blanc)のドイツ語名です。ピノ・ノワールの親戚にあたり、シャルドネによく似ていますが、より穏やかで、果実の風味を持つ、爽やかで軽いワインとなります。

辛口仕立てで、フレッシュな酸味と繊細なフルーティさを併せ持つヴァイスブルグンダーは理想的な食中酒でもあり、夏向きの軽快なワインです。

グラウブルグンダー(黒ブルゴーニュのドイツ語名)はブラウアー・シュペートブルグンダーの突然変異ですが、ヴァイスブルグンダーは、この突然変異がさらに進行したものと考えられています。

モリオ・ムスカート Morio-Muskat

いかにもマスカットを思わせる親しみやすいワインになる。早飲みタイプ。

ショイレーベ Scheurebe

ゲオルグ・ショイ氏によって、1916年に開発されたジルファーナーとリースリングの交配種といわれていましたが、ショイレーベは無名の野生ぶどうとリースリングの掛け合せから誕生したのではないかと言われています。

力強い香りはブラックカラント(カシス)、桃、熟した洋梨を連想させます。しっかりとした酸味とこくのあるワインになり、ファルツで大成功を収めています。シュペートレーゼ以上の高級ワインで真価を発揮します。ショイ氏は、他にもジーガーレーベ、フクセルレーベ、カンツラー、ファーバーレーベ、ヴュルツァーなどの生みの親でもあります。

前菜からデザートに至るまで、アロマティックでスパイシーな料理のお供に最適です。

バッフス Bacchus

1930年代にペーター・モリオとジーベルディンゲンの連邦ぶどう栽培研究所のフスフェルト博士が共同で、ジルファーナーとリースリングを交配させ、さらにミュラートルガウを交配し生み出した品種。

花のような香りとマスカットに似た香り、優しくふっくらとした味わいのワインで、ショイレーベを思い起こさせます。良作年には高級ワインも出来ます。

ゲヴュルツトラミーナ Gewurztraminer(Roter Traminer)

今日栽培されているワイン用ぶどうのうち、最も古い品種のひとつです。研究者たちは、そのルーツがギリシャではないかと推測しています。最も刺激性の強い品種のひとつ。EUの規定によりローター・トラミーナの名称で分類された品種だけが、ドイツでこれまで通りゲヴュルツトラミーナの名称を使用できます。バーデン地方ではクレーヴナー(Clevner)という名称も認められています。

際立って刺激的な芳香があり、アロマはバラの花やグレープフルーツを思わせる。ワインは、辛口であっても、飲み口は芳醇でやわらかいことが多いワインです。アルザスで最高のワインになり、ドイツ、東ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、カリフォルニアなどアメリカ太平洋岸北西部のものも申し分ないワインです。

エルプリング Elbling

ヨーロッパの栽培ぶどうのうち、もっとも古い白品種のひとつです。ローマ人はこのぶどうを「ヴィティス・アルバ(Vitis alba)」すなわち「白いぶどう」と名付けました。「アルバ」という語が「アルベン」から「エルベン」、さらに「エルプリング」と変化したと指摘しています。ローマ人が2000年前、エルプリングをガリア経由でドイツにもたらしたとのことです。エルプリングは今日のドイツのワインシーンにおいて、希少価値を持つ品種で、モーゼル地方でだけ栽培が認可されています。オーバーモーゼルでは、2000年の栽培史を誇ります。

シャルドネ Chardonnay

他の多くの品種同様、シャルドネのルーツも西アジアです。ワイン文化の伝播とともに、フランスへもたらされ、ブルゴーニュ(ブルグンド)地方に根づき、そこが新しい故郷となりました。トゥールニュ近郊に「シャルドネ」と呼ばれる村があり、名前の由来になったと言われます。ドイツで栽培が認可されたのは1991年のことでした。

ソーヴィニヨン・ブラン Sauvignon Blanc

ソーヴィニヨン・ブランは主に南西フランスで栽培されている品種です。ここ数十年にわたり、世界中で栽培されるようになり、アルゼンチン、チリ、ニュージーランド、イタリアに広まったほか、カリフォルニアと南アフリカでも成功をおさめています。全世界における総栽培面積は約80.000ヘクタールに達しており、世界で最も多く栽培されている白品種のひとつとなっています。

ソーヴィニヨン・ブランはバーデン地方のドゥルバッハでも、伝統的に栽培されてきました。

【赤ワイン用品種】

ドイツというと白ワインのイメージが強いですが、赤ワインは全体の約20%を占め、近年の赤ワイン人気で生産量は増えつつあります。他国の赤ワインに比べ、タンニン(渋み)が少なく飲みやすいのが特徴です。「白ならドイツ、赤ならフランス」という概念がヨーロッパの長い歴史の中で定着しており、ドイツ人にとって赤ワインは憧れの的でした。通常はほとんどが地元で消費されてしまいます。

シュペートブルグンダー (Spatburgunder)

ドイツ語で「赤いブルゴーニュ」。その通り、ピノ・ノワールと同一品種で、ドイツの赤ワインの最高品種で最も栽培されています。軽めのタイプが多く、すっきりしています。

ポルトギーザー (Portugieser)

2番目に多く栽培されている赤ワイン用品種で、シンプルでフルーティ、フレッシュで飲みやすい日常的に楽しめるワインです。タンニンが少なく、収穫後の翌春から楽しむことができます。

ドルンフェルダー (Dornfelder)

1955年にヘルフェンシュタイナーとヘロルドレーベの交配によって産まれた新品種で、すでにドイツの伝統品種なみの存在感があり、近年急激に需要が高まりました。色が濃く、コクのある独特なワインが出来るため、今後栽培面積が増えていくことが予想できます。

ルーレンダー (Rulander) ・グラウブルグンダー(Grauer Burgunder)

グラウブルグンダーはドイツにおける優良品種のひとつです。ブラウアー・シュペートブルグンダー(シュペートブルグンダー)の突然変異種で、かつてルーレンダーと呼ばれていました。甘口タイプのワインに用いられたが、今は甘口タイプは少数になりつつあります。

レゲント Regent

レゲントは1996年に栽培が認可された新交配品種で、2005年までの間に急増しました。ファルツ地方ジーベルディンゲンの連邦ぶどう交配研究所で、ジルヴァーナーとミュラー・トゥルガウの交配種をさらにシャンボーソンとかけ合わせたもので、特定のカビ菌に耐性があり、ビオワインの生産に向く品種です。

他にはヴュルテンベルク地方で最も多く栽培されている赤ワイン品種トロリンガー、シュヴァルツリースリング(ミュラーレーベ)や着々と栽培面積を増やしているレンベルガー、1990年まではほんの少量しか栽培されていなかったサン・ローラン、あるいはザンクト・ラウレントといわれる赤ワイン用ブドウは、約150年前にアルザス地方からドイツにもたらされ、


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