ニッカウヰスキー第二の故郷

宮城峡蒸留所(仙台工場)見学

宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地
訪問日:2004年3月1日

 

2001年2月に、ついに日本の本格ウヰスキーの聖地、北海道余市蒸留所(北海道工場)を訪ねることができました。創業者である竹鶴さんが最初に本格ウヰスキー造りを目指したニッカウヰスキーの出発点です。それからいつか第二の蒸留所である宮城峡蒸留所を訪ねてみたいと思っていましたが、今回、某地元経営グループの旅行で仙台に行くことになり、せっかくのチャンスなので私だけちょこっと単独行動で行かせてもらう機会ができました。
工場敷地内中央にある池。白鳥数羽が静かな環境の中で住んでいます。北海道余市蒸留所敷地内にあるニッカ沼と呼ばれる自然な池にも白鳥が住み着いています。
竹鶴さんが何故ここに余市蒸留所の次のローランドモルト的な蒸留所を築いたのかを知りたかったからです。
霧と水
ニッカウヰスキー仙台工場(宮城峡蒸留所)は、昭和44(1969)年に建てられました。スコッチウイスキー(ブレンデッド)は、ハイランド、ローランド、スペイサイドなどの原酒を数十種類ブレンドして複雑な風味に仕上げるのです。余市はハイランドモルトに似ています。男性的で重厚なウヰスキーです。その対称的な女性的で柔らかいウヰスキーが造れる場所はないか・・・。そしてついに探し求めたのが宮城峡でした。広瀬川と新川川(ニッカワガワ)との合流点で、二つの清流が出会い、朝晩はもやとなって大地を覆うウヰスキー造りに理想の地です。
 仙台市の中心部である青葉区と同じ区といっても、市街地のホテルから40分もかかる、山形県との県境に近い場所に工場は位置しています。タクシー代が6700円もかかっちゃいました。(>_<)
仙台市に合併するまでは宮城県宮城郡宮城町という「宮城県」という名前になった土地なんですね。
ウヰスキー造りに理想の地を求めて北海道余市に昭和9(1934)年に創業してから、苦労の末にウヰスキーも軌道に乗ってきた頃、竹鶴さんにはもう一つの念願がありました。修行を積んだ本場スコットランドのウヰスキーのように、複数の原酒をブレンドした、より芳醇なブレンドウイスキーを造る夢でした。竹鶴さんは、著書「ウイスキーと私」の中で仙台工場建設についてこう述べています。
 「昭和43年に入り、5月1日から税制が改正され、ウイスキーについての規定はさらに大きく前進した。各級とも原酒の混和率が3%アップされた。7%未満のものはウイスキーとしては製造できなくなり、ウイスキーという名前も使えないことになったのである。
この年の秋、余市工場で長い間、大切に育ててきた原酒の中から、古いものを選んで、「G&G」を発売した。
この頃より日本の経済国際競争力は各国のインフレ進展ということもあって、大いについて来た。国内的には消費の高級化と多様化が目立ちはじめた。ウイスキーも高くてもよいものが、どんどん出る時代に入った。各国からもいろいろなブランドが入ってくるようになり、政府は昭和46年1月、遂にウイスキーの貿易の自由化にふみきった。
自由化政策としては、日本のウイスキーの品質を良くすることしかない、スコッチに負けないウイスキーをつくればよいのだ、という私の主張にそって、次々とその準備を進めた。
(日本で初の)カフェ式蒸留機を導入してカフェ・グレーンをつくる(旧西宮工場。数年前に仙台工場に集約し移築)ことにしたのもそのためであった。その後に残っている最後の方法は、ローランド・タイプの原酒をつくることであった。その原酒を北のタイプ“余市モルト”とブレンドすることであった。
その理想に近づけるため、私は仙台郊外の広瀬川上流に、ローランド・タイプの原酒づくりにぴったりの土地を見つけた。
ローランド・タイプのモルトの役割を「ウイスキー1930」の著者、イーニアス・マクドナルドは次のように述べている。
「すぐれたブレンデッド・ウイスキーはどれもそうであるが、バランスのよくとれたオーケストラにローランド・モルトという一つの新しい楽器を加えることではない。むしろ音楽のリズムを合わせるコンダクターとして働くのが彼の役割である。ローランド・モルトは一種の仲人のようなもので、荒々しいハイランド・モルトと中性のグレーン・ウイスキーの橋渡しをするのだ。」
モルト(原酒)は同じ時に、同じ製法でつくっても、育つ環境によって、たいへん違ったものに成長する。それを合わせるとさらに味が良くなるのである。どうしてそうなるのか、科学的には十分に説明のつかないウイスキーづくりの神秘の一つなのである。
昭和44年、早春から貯蔵をはじめた仙台のモルトは、理想的な成長を続けた。気候風土、空気中の湿度、水、オゾンなどウイスキーづくりの条件を十分に検討して、ここなら絶対に大丈夫だと、私が太鼓判を押した土地であったが、育ち具合はやはり気になった。
…ハイランドタイプのモルトをつくる工場(北海道)、ローランドタイプのモルトを
つくる工場(仙台)、それにカフェ・グレーンモルトをつくる工場(西宮)を持つことなどは、資金だけでなく、限られた残りの人生から見ても、まったく夢であった。四百年の歴史を持つスコットランドでも、3つのタイプの工場をつくった企業も人もいない筈である。
幸いにも、命長らえて、その宿願を達することができた。
私は、ウイスキーに生きた男としての幸せを、今更のようにかみしめている。
キルン塔
大粒で良質な大麦を発芽させ、大麦麦芽(モルト)をつくり、キルン塔でピート(草炭)を燃やし、麦芽を乾燥させます。この過程でモルトウイスキー独特のスモーキー・フレーバーが着きます。キリンの形ににていることからキルン塔というのだと思います。
キルン塔は余市では2基ですが、宮城峡では大きなキルン塔が1基あります。
ピートは、仙台工場では本場スコットランド産のものを使用しています。
糖化と蒸留
乾燥させた麦芽に温水を加え、麦芽に含まれる酵素を働かせてでんぷんを甘い麦汁に変えます。
余市のポットスチルはストレートですが、宮城峡のポットスティルは丸い部分があるのが特徴です。
余市の倍である8機のポットスティルが設置されています。
ガイドしてくださった高橋さんは、入社1年目だそうでした。平日で朝一番に私一人だけのガイドで恐縮至極・・・。
熟成
貯蔵庫は、余市では同じ大きさの樽を4段並べられていますが、宮城峡では赤煉瓦造りで建物が大きいので天井も高く、大きさの異なる木樽が大きいものから順に5段積みとなっています。
余市の1.5倍を占める広大な敷地に原酒貯蔵庫が並んでいます。
制御と研究室
集中制御室
研究室
ボトリング棟
西宮工場から移設したカフェ・グレーンの貯蔵タンク
広大な敷地に並ぶ貯蔵庫群
ゲストホール
貯蔵庫のひとつをゲストホールにしたものです。ここで原酒といろいろな製品を無料でテースティングできます。訪問した時は「宮城峡15年」「ニッカ梅酒」「オレンジジュース」でした。原酒は実にまろやかで、度数を感じさせずにスルリと喉に入ります。仕込み水に使用している新川川の源水も冷水器から飲むことができます。ニッカ製品やニッカのお酒を使用したウイスキーボンボンなどのお菓子など、土産物コーナーがあります。

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