三ツ星醤油


伝統食品 その3

醤 油

堀河屋野村

和歌山県御坊市新町

日本の醤油発祥地で今に続く伝統の醤油

 

日本人の味のみなもと、「醤油」のルーツ

興国寺

堀河屋野村正面玄関<P

日本人の味のみなもと、「醤油」のルーツ?

醤油は、大豆、小麦、塩、水から造られる発酵調味料です。
13世紀の中頃に中国で修行した和歌山興国寺の僧が持ち帰ったなめ味噌「径山寺(きんざんじ)味噌」がその原型。
味噌の表面に浮いてきた液体を取り分けて単独の調味料として使用したのが「醤油」の始まりとされています。
江戸時代、愛知県や和歌山県で造られた醤油は船で江戸に運ばれ、「下り酒」同様に「下り醤油」とブランドで呼ばれて珍重されました。
その製法を関東に持ち込み、醤油の一大生産地となった千葉県の野田や銚子の醤油業者が、さらに江戸庶民の生活に醤油を広めていきます。


三ツ星醤油の歴史

紀伊国湯浅は、醤油発祥地である興国寺に近く、径山味噌や醤油生産地として多くの醤油生産者がありました。堀河屋は元禄年間の創業。もとは紀州の廻船問屋で、陸では両替商を営んでいました。
そして得意先の手みやげにと径山味噌や醤油を造っていました。江戸末期に船を立て続けに失ったのが、醤油造りを専業にするきっかけに。
戦後の原料不足により、本当の天然醸造(本醸造)醤油が次々と姿を消していく中で、三ツ星醤油は、原料の質を落とさず、伝統製法の醤油を守り続けました。
明治、大正と大量生産されるようになった醤油ですが、戦前戦後は原料の入手難から、わずか3日間でできる醤油の代用品「アミノ酸醤油」が主流となります。現在でも「本醸造」とは名ばかりの原料(脱脂大豆、化学調味料や甘味料、カラメル色素、アルコール等の添加物)・製法(短期熟成発酵)の醤油が数多く見られます。
生産量は落ち込み、昭和48年に現当主の野村太兵衛さんが第17代を継いだときは醤油造りが成り立つか真剣に悩んだ時期がありました。


巨大な鉄製のほうろくでこんがりキツネ色に小麦を炒ります
仕込みは、昔からの高さ3メートルもある杉の大桶
昔ながらのやり方で、丁寧に布袋で搾られます桶の中で、こうじ、小麦、大豆と食塩水をよく混ぜ合わせます。もろみの中では、こうじ菌の働きが活性化し、タンパク質をアミノ酸(旨味)に、小麦のデンプンをブドウ糖(甘み)に、脂肪をグリセリン(まろやかさ)に分解します。

三ツ星醤油のこだわり

最近ではテレビや雑誌、口コミで知った個人客からの注文が多く、年間生産量72klの約40%がこうした個人客へのケース単位の宅配便による直送。
紀伊半島、太平洋に面した御坊市。熊野古道で知られる永い歴史を誇る地域です。年間を通じての温暖な気候は、しょうゆの醸造にも適しています。
時代がかった格子戸をくぐると、そこが蔵。仕込み蔵、もろみ蔵を併せて千坪ほどの中に、巨大な鉄製の設備と木製の仕込み桶、と江戸時代にタイムスリップしたかのような道具の数々がひしめく。
原料は、創業当時と変わらず国産のみ。丸大豆と小麦と塩、蔵内から湧き出る井戸水だけ。豆は小粒でそのまま食べても旨い良質なものを探し求め、北海道の豆にたどりつきました。

手間と時間をかけるのが旨い醤油の条件

仕込みは、毎年10月頃から。ゆっくり時間をかけ鉄製のほうろくでこんがりキツネ色に小麦を炒ります。
丸大豆は5時間ほど水につけてから鉄製の和釜でふっくらと蒸し上げて、余分な脂肪分を取り除きタンパク質を変質させます。
仕込みには、昔からの高さ3メートルもある杉の大桶を使います。桶の中で、こうじ、小麦、大豆と食塩水をよく混ぜ合わせます。もろみの中では、こうじ菌の働きが活性化し、タンパク質をアミノ酸(旨味)に、小麦のデンプンをブドウ糖(甘み)に、脂肪をグリセリン(まろやかさ)に分解します。
ついで、蔵に住み着く乳酸菌や酵母が作用し、分解されてできたブドウ糖かあら乳酸や他の有機酸類、アルコールを造ります。ただしカビのような雑菌はタブー。木造の蔵の5メートルほどの梁にもホコリひとつ残さない掃除の徹底ぶり。それが堀河屋の自慢でもあります。

戦後の原料不足と速醸醤油

「本醸造」というラベルの表示にだまされない。

日本農林規格(JAS)による醤油の定義

タイプ別
醤油は「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種に分類されます。
生産方式
本醸造醤油…大豆、米、小麦等の穀類を原料とし、こうじ菌を使って発酵させ、熟成させたもろみをしもったもの。
新式醸造醤油…醤油もろみにアミノ酸液または酵素処理液を加えて発酵した醤油
混合醤油…本醸造醤油の原液とアミノ酸液または酵素処理液を混ぜ合わせた醤油
    •  「本醸造醤油」以外は、主に加工用に使われるので、現在の市販されている商品では「本醸造醤油」が主流となっています。
    •  さらに「本醸造醤油」については、窒素分、無塩可溶性固形分(エキス)、アルコール分などの数値により「特級」「上級」「標準」の等級があります。

最高級のはずの「本醸造特級」醤油の中でもかなりの品質格差があることが、ラベルから見えてきます。
ラベルの原材料表示は、すべての食品がそうですが使用量の多い順に並んでいます。「丸大豆」とは大豆そのもの、「脱脂加工大豆」とは大豆から脂肪分(約20%)を科学的な溶剤で溶かし出しタンパク質だけを残したもの。
安全面でも味でも問題がありそうです。それでも多くのメーカーが「脱脂大豆」を使用するのは、原料が安価で製造工程が安易だから。
平成5年度の食糧庁のデータによると、年間醤油製造に使われる主原料の内訳が「脱脂加工大豆」18万?に対し、「丸大豆」はわずかにその3%弱の5千?です。「丸大豆」と表示されていても、輸入大豆は薫蒸処理されているものが多く、やはり不安が残ります。「小麦」も同様です。

「本醸造醤油」といってもいろいろ

「本醸造醤油」の醤油ラベルにも「保存料」や「アルコール」の表示をよく目にします。多くのメーカーでは、コストを抑えるため速醸法という2ヶ月ぐらいの短い熟成期間で製造しており、これらの成分を添加して人工的に調整する場合もあるからです。
脱脂大豆を使い短期間でできる「本醸造醤油」が、国産丸大豆で2年以上かけて手造りで造る「本醸造醤油」とは、味や値段で違いが生じるのは当然です。「本醸造」だからといって、価格だけで論じるのは土俵が違うというものです。江戸の昔にも、一升の醤油で10倍近くの値段の開きがあったと言います。大事なのは、なぜ
値段が違うのか原因を見極められる目をもつことではないでしょうか。

四季折々、味が違います。
醤油もろみは同じ時期に仕込んでも、色、味、香りなどの熟成具合は木桶それぞれで違います。出荷時期で微妙に違いますが問題ありません。
保存料の入った調味料ではありません。
化学調味料、保存料などの添加物を全く使用していないので、開栓後は冷蔵庫で保存し早めに使い切って下さい。夏期にはカビが生えることがありますが、カビを取り除いて煮切って使って下さい。