ドイツと言えばビール。ビールといえばドイツ。ドイツワインと言われてもピンと来ない人も多いのではないでしょうか?

ドイツワインの生産量を他のヨーロッパ諸国と比較すると、ぶどうの栽培面積でスペインの1/10程度、フランスやイタリアの1/8程度で、ワイン輸出量もフランスやイタリアの1/7程度ですが、世界全体のワイン消費量を見ると、1位はアメリカ、2位がフランスで、イタリアと並ぶ第3位にドイツが入るのです。

甘口から辛口へ

そしてドイツワインをご存知の方も、ドイツワインと言うと白ワイン、そして甘口のイメージが強いのではないでしょうか。意外なことに1970~1980年代中頃までは、日本において最大のワイン輸入相手国がドイツであったということを知らない方も多いのではないでしょうか。同じ頃、ドイツ最大の輸出先であったアメリカが甘口ワインを好んだため、世界的に「ドイツワイン=甘口」というイメージが定着したようです。

ドイツで生産される白ワインの半数が甘口、残りの半数が辛口となっていますが、辛口はおもにドイツ国内で消費されています。ドイツ国外に輸出される白ワインの大部分は甘口というわけです。これを見るとドイツワインは白ワインというイメージが伝わりますが、実はドイツ国内の赤ワインの生産量も全体の40%近くまで増えているそうです。

ドイツワイン協会(DWI)によると、

ドイツは世界最北端のぶどう栽培地のひとつと言われ、長年日照時間や気温の変動でぶどう収穫とワインの品質に大きな影響を受けてきた。ところが年々気温が上昇しており1990年代と比較すると、欧州の気候は南に300キロほどずり落ちたような感じと、気象台専門家は分析する。つまりドイツワインは地球温暖化の恩恵を受け、さらにドローンや携帯アプリケーションを用いてぶどうの栽培管理や品質を一定に保つなどIT技術を導入することで高品質のワインが続々と市場に出回るようになった。

白品種のリースリングは、通常平均気温が13度から18度が最適だといわれている。そのため寒冷な地域で栽培できた。一方赤ワイン、例えばシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)は14度から16度が最適気温で、その温度幅が狭いため、特に気候変動の影響を受けやすいとされていました。気温の安定に伴い、今後はドイツの赤ワインの成長が期待されている。

「かつてはピノ・ノワールは生産量が少なく、国内で消費されることが多かったため、輸出は難しかった。だが今後はピノ・ノワールをはじめ、赤ワイン全般の生産量も着実に増え続け、海外でも入手できる可能性が高くなるだろう。それに伴い、リースリングだけでなく、ドイツ産赤ワインもさらに注目を集める」という。

日本向けの輸出、15.6%増

現在、ドイツのワイン輸出業者の総収入の4分の1以上は米国向けです。平均価格が11%上昇して4.17ユーロ/リットルになったことで、この重要なトレンド市場に向けた2015年の輸出額は8200万(ユーロ)となりました。

オランダが輸出統計で第2位となり総輸出額の11%を占め、英国が9%、ノルウェーが8%でこれに続きます。ドイツワインの概ね半分が上記4つの主要市場に輸出されています。

1980年代中頃までは日本のワイン輸入国のトップを占めていたドイツワインですが、90年代後半からは赤ワインブームに押され減少傾向にありました。ところがまたドイツワインが見直されているのです。

2017年7月から2018年6月の12ヶ月間で、ドイツワインの輸出は全体として金額ベースで+5.6%、数量ベースで+7.0%(いずれも2016年6月~2017年6月との比較)を記録いたしました。日本市場への輸出も成長を続けており、金額ベースで+15.6%、数量ベースで+3.8%(2016年6月~2017年6月との比較)の伸びを見せています。特に2018年6月の増加率は目覚しく、金額ベースで+46.2%、数量ベースでは+39.9%という好結果を収めました。

2018年の日本へのワイン輸出全体が落ち込む中(2018年1月~6月で-1.7%)で、ドイツワインは一歩抜きん出た好調なパフォーマンスを見せました。「輸出は今後も継続して好調に推移するでしょう」と、ドイツワイン・インスティチュート(DWI)代表のモニカ・ロイレは述べています。

量より質のドイツワイン

「甘口のドイツワイン」というイメージから「モダンでスタイリッシュなスタイル」へと認識がシフトし、高品質なドイツワインに需要が移ってきています。DWIで日本市場を担当するウルリケ・レーンハールト(Ulrike Lenhardt)は、「リースリングとピノ品種各種の辛口ワインをメインにプロモーションすることで、どんな食事とも楽しめる汎用性の高い側面をアピールしてきました。ドイツワインはスレンダーでフレッシュなスタイルながらしっかりとした酸によって日本料理やアジア系料理との相性も高く、またアルコール度数や味わいもライトなタイプが多いので、食事なしでも愉しめます」とコメントしています。

特に注目すべきは、ドイツワイン輸出全体の傾向として数量の増加率が高いのに対し、日本は金額の成長率が大きいという点です。日本においてドイツワインの品質の高さが周知され、市場ニーズも高品質のドイツワインに向かってきていることが見て取れます。

一方、ドイツで生産された約96%がクワリテーツワイン(Q.b.A.)とプレディカートワイン(Q.m.P.)の原産地保証ワインで、EU共通のワイン法において「優良ワイン」として分類される高級ワインです。フランスやイタリアではその割合が50%以下ということを勘案すると、簡潔に言って「量より質のドイツワイン」と言えます。

このような北の地でドイツのワインは造られています。南欧では九月には収穫される葡萄でもドイツではまだ実が熟されず、十月に入ってからやっと収穫されるようになります。

糖度を多く含む高級なワインを造るには十一月まで待たなければなりません。太陽にあたる期間と収穫年の気候により、ワインに含まれるアルコ-ル度も違ってきますが他国のワイン生産地のそれとはだいぶ違います。長い月日をかけてゆっくりと収穫されるドイツの葡萄は大変デリケートな甘みとフルーティな酸味に守られ、林檎、グレープフルーツ、パイン、洋梨などの香りをもち、アルコール度も10度前後に控えられた上品なワインとなります。

Q.b.A.の格付けの上のクラスにはQ.m.P.があり、主に糖度によって、カビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ(BA)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA)、アウスワインの6段階があります。右になるにつれてブドウの収穫時期を冬になるぎりぎりまで待ちます。EUワイン法の見直しにより、Q.b.A.とQ.m.P.は同じクラスとなりましたが、これはドイツが北緯50度、日本の地に置き変えると北海道より北の地となります。しかし、主に暖かな湾岸流と西ヨーロッパの気候への温暖化の影響がブドウのはるか北での熟成を可能にします。

赤も増えている

ドイツワインの中で、世界的に最も強くアピールできるのは、リースリングとシュペートブルグンダーでしょう。両者はドイツワインの白品種、赤品種のうち、それぞれ最も多く栽培されているものです。シュペートブルグンダーはブルゴーニュのピノ・ノワールと同じ品種でドイツ語で“遅いブルゴーニュ”と名付けられています。ドイツにおけるシュペートブルグンダーの栽培面積は、1位のフランス、2位の米国に次いで世界第3位です。近年のドイツのシュペートブルグンダーの品質の向上は目覚ましく、ブルゴーニュの造り手との情報交換も盛んになっており、多くの醸造所がジャーマン・スタイルとブルゴーニュ・スタイルの両タイプのシュペートブルグンダーを醸造しています。

今日ではドイツワインといえば辛口が主流で、ドイツ国内の赤ワインの生産量も全体の40%近くまで増えているといいます。ドイツでは、トロッケン(辛口)とハルプトロッケン(中辛口)の生産量の合計が65%に達しており、甘口ワインの生産が減っています。また、赤ワインの生産量が全体の36%に達しています。「ドイツは白ワインの国」「ドイツワインは甘口」というイメージは、すでに過去のものとなっています。

ラベルの簡素化とスクリューキャップ

最近のドイツワインのラベルがすっきり簡素化しているということにお気づきでしょうか?

これまでは、ドイツワインのワイン名は長く覚えられないものでした。逆に言うとブドウ品種や等級などの用語を知っていれば、そのワインの内容がある程度分かるようになっているので親切であるともいえました。例えばクワリテーツワイン以上は、「収穫年度、生産村、畑、使用品種、カビネットなどの等級」の順に表記します。これとよく似たワインに総合畑のワインがあります。ピースポーター ミヘルスベルクやオッペンハイマー クレーテンブルンネンなどのベライヒ(生産地区)内の畑であれば、実際の畑名ではない総合畑名ワインは、ドイツワインを混乱させるとして、簡素化しています。

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プリンツのハルガルテナー ユングファー リースリング ラインガウ カビネットは、2013年から収穫年と村名が消え、ユングファー リースリング カビネット

同じ醸造所の所有畑のみに、

  • グーツワン 収穫年度+醸造所名+ブドウ品種+等級
  • 同じテロワールのワイン 収穫年度+醸造所名+ブドウ品種の横に、地名+等級
  • 一級以上の銘醸単一畑のワイン 収穫年度+生産村+単一畑+等級

そして、辛口の場合はトロッケン、中辛口はハルプトロッケンまたはファインヘルブと表示しています。
ニューワールドのワインも醸造所名と収穫年度+ブドウ品種を表記しています。
ドイツ以外のEUワインは、これとは異なり、ブドウ品種を表示しない場合はほとんどです。

ワインを飲む最初の頃は、誰しもコルク栓のワインを開けるのに苦労したと思います。40年前、日本でもワインを嗜む習慣が芽生え始めた頃、日本の家庭には三徳オープナーという栓抜きと缶切り、スクリューが一体になったものぐらいしかありませんでした。ワインが普及した現在は、ソムリエナイフをはじめ簡単にコルクを開けるさまざまなワインープナーがありますが、最近、ワインのボトルの栓として定番だったコルクに代わって、様々な蓋が登場しています。中でも、 一番支持を集めているのが、簡単にひねって開けられる 「スクリューキャップ」でしょう。消費者としては、道具無しで、簡単に開けられ、しかもコルクにつきもののブッショネ(コルクの汚染が原因に依る悪臭)というリスクが皆無なことで、ワインを安心して、購入出来ます。ニューワールドでもワインの栽培や醸造に革命的な手法をもたらしたオーストラリアと、ニュージーランドは、世界に先駆けて、このスクリューキャップを使用し、その流れは、他のニューワールドや本場ヨーロッパでも急速に広がっています。とくにドイツでは高級ワインにもスクリューキャップが採用されています。コルクの栓は完全密封ではないので、 酸素が瓶に忍び込み、ワインの熟成を促す訳ですが、長期熟成型でない普段飲むようなワインは、高価で、ブッショネ(コルクの汚染が原因に依る悪臭)汚染のリスクがあるコルクを使用する必要がないということです。スクリューキャップは、コルクに比べ空気を全く通さない(とされる)ので、飲み残しのワインの保存にも便利。

また、ポルトガルを始め、スペインの一部で作られる高価なコルクを輸入せずに、地元で調達できるスクリューキャップは、製造価格を抑え、またブッショネによる返品のリスクもないので、本心としては積極的に導入したいところ。

ではフランス・ボルドーやブルゴーニュなど高級ワインでスクリューキャップが普及しないのは何故なのでしょう?答えは「イメージ!」にあるようです。それは一般消費者に、コルクの打っていないワインは「安物」というイメージが根強く、その反映もあって、例えばフランスの主立ったシャトーや、高価なナパのワインなどに、コルク以外の栓が使われる事は、未だありません。それよりも彼らの実質的な懸念として、スクリューキャップで蓋をしたワインが、長期熟成に適格かという未解決な問題があります。というのは、コルクの栓は完全密封ではないので、 酸素が瓶に忍び込み、ワインの熟成を促す訳ですが、空気を全く通さない(とされる)スクリューキャップでは、長期熟成用のワインにどんな影響を及ぼすのかが、未だ明らかになっていません。何故なら、スクリューキャップが出回り始めたのは、比較的最近だからです。

またワインだけではなく、食品業界全体に「Bio(ビオ)」というマークの付いた有機食品が浸透してきたため、ビオワインも増えています。

実はビールよりワインにお金を使っている

ドイツ人のビールの年間消費量は1人当たり106.6リットルに達していますが、一方ワインは21.1リットル、ゼクトは4リットルです。分かりやすいイメージに置きかえると、ドイツ人はビールの小瓶を1日1本欠かさず飲み、ワインは週に1~2回、グラス1杯程度を嗜む、という感じでしょうか。これはドイツ全体の平均なので、ドイツのクワリテーツワインが生産される13の生産地域は、旧東ドイツのザクセン地方とザーレ・ウンストルート地方を除いて、国土の南部と南西部に集中しています。ワイン生産地でのワイン消費量は、他のドイツ全体のワイン消費量とは同じではありません。ドイツはドイツ連邦という通り、いくつかの王国が合わさってできた国です。南部と南西部のブドウ栽培地は、神聖ローマ帝国がブドウ栽培とワイン造りを始めたことに起源があります。一方、ミュンヘンを州都とするバイエルン州では西部のワイン産地フランケン地域を除いて、ワインは生産されておらず、世界最大のホップ産地で、大麦によるビール造りがさかんです。

また、EUないとしてフランス、イタリア、スペインなどのワインは関税ゼロ。ドイツにも入りやすいことです。ドイツ人が消費しているワインは輸入ワインの方がやや多く、全体の55%を占めています。その内訳はフランスワイン(15%)、イタリアワイン(14%)、スペインワイン(8%)、その他の欧州諸国のワイン(11%)、ニューワールドワイン*(6%)、その他(1%)となっています。

ドイツワインの生産量は年間約1000万ヘクトリットル(1hl=100リットル)で世界第9位。世界市場におけるシェアは4%ほどです。ドイツで生産されるワインのうち輸出されるのは約15%、残りの約85%は国内消費、つまりドイツ人が自分たちで飲んでしまうのです。

ワインの年間消費量ではビールの約5分の1ですが、2001年にはワインへの出費がビールへの出費を追い越し、今もその差は広がり続けているそうです。これはドイツ人がワインに対して多くのお金を使っているということ。つまり、ドイツ人は「安ワイン」ではなく、「良質なワイン」を飲んでいるわけです。

*ニューワールド・ワイン

伝統的なワイン生産地である欧州以外の、新興生産地のワインのこと。北米、中米、南米、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどのワインがこれに当たる。

出点:ドイツワインインスティチュート、ドイツワインナビゲーター

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